塩(しお)
食用の塩の主成分は「塩化ナトリウム(NaCl)」
(海水の乾燥、岩塩の採掘などによって生産)
塩事業法による定義では、
「塩化ナトリウムの含有量が100分の40以上の固形物」
その他の成分は、
「カルシウム、カリウム、マグネシウム」など
岩塩・海塩・湖塩
塩の採取別による種類は以下など
• 海水から採取される「海塩」(約3割)
• 塩湖から採取される「湖塩」(約1割)
( )内は世界の生産量の割合
岩塩(がんえん)
海だった場所が地殻変動などで陸地になり、
長い歳月をかけて塩分が結晶となって
岩塩層が形成され、そこから採掘されるもの
海水が化石化したようなもの
特徴
岩塩の多くは塩化ナトリウム以外のミネラル成分が、
あまり含まれていない
周囲の環境により色づいたものも多く、
淡いピンク、黄色など様々な色がある
(硫黄や有機物の混入などによる)
火山の影響で鉄分や硫黄が含まれることもある
鉱物が多く含まれているものは食用に適さず、
バスソルトなどに使用される
採取地
世界各地で採掘されるが、日本では産出していない
(日本で流通している岩塩は全て海外産)
主な採取地は、ヨーロッパ、北アメリカなど
採掘法
主な採掘法は、「溶解採掘法」「乾式採掘法」
溶解採掘法
• 一度水に溶かし、煮詰めて塩を取り出す方法
• 不純物が少なく食用として一般的に用いられる
乾式採掘
• 直接掘り出す方法
• 土や砂など、不純物が混じりやすい
海塩(かいえん)
海水から採取した塩
特徴
海水塩には、ナトリウム以外にも
「カルシウム、マグネシウム、カリウム」
といったミネラル成分が含まれていることが多い
ただし、「精製塩」の場合は、
成分の99%以上を塩化ナトリウムが占め、
これらのミネラルはほぼ含まれていない
採取地
メキシコ、オーストラリア、
ヨーロッパの沿岸地域、日本など
(海に面した多くの国)
ただし、
日本は雨と湿気が多く、「天日塩」の製法は難しい
(一部地域では行われている)
製塩方法
• 電気分解して作る「精製塩」
• 太陽の光と風で乾燥して収穫する「天日塩」
• 煮詰めて作る「せんごう塩」
精製塩
海水から電気分解でナトリウムイオンを抽出し
濃い塩水をつくった後、煮詰めて塩の結晶をつくる
(ナトリウム以外のミネラルは取り除かれる)
天日塩
海水を塩田に引き込み、太陽の光と風で
濃縮・乾燥し、結晶化した塩を収穫する
せんごう塩
海水を釜などで煮詰めて塩の結晶をつくる
湖塩(こえん)
塩湖と呼ばれる塩水の湖で採取される塩
(生産量も少なく貴重な塩)
特徴
成分や味などは、海水塩と岩塩の中間ほど
塩湖(えんこ)
死海、カスピ海、ウユニ塩湖、グレートソルト湖など
(日本に塩湖と呼ばれる湖はない)
粗塩(あらしお・あらじお)
一般的な認識
• 精製していない塩
• ミネラル分が含まれている塩
そのほか
• 輸入した天日塩に後からミネラル分を加えたもの
• 単純に粒子が粗いもの
これらも「粗塩」と表示されていたりする
(特に厳密な定義はない)
塩(えん)
酸と塩基との中和反応によって生じる化合物
酸の陰性成分と塩基の陽性成分とからなるもの
(塩化ナトリウム、硫酸カルシウムなど)
中和反応では「水」と「塩(えん)」が生じる
中和反応
• 酸性の水溶液中の「水素イオン(H⁺)」
• アルカリ性の水溶液中の「水酸化物イオン(OH⁻)」
この2つが結びついて「水(H₂O)」ができる反応
中和反応の例
塩酸と、水酸化ナトリウムの場合
• 「HCl + NaOH」➝「NaCl + H₂O」
(「塩化ナトリウム」と「水」が生じる)
硫酸と、水酸化バリウムの場合
• 「H₂SO₄ + Ba(OH)₂」➝「BaSO₄ + 2H₂O」
(「硫酸バリウム」と「水」が生じる)
「水」と「塩」
中和反応では酸性とアルカリ性の液体が反応し、
「水(H₂O)」ができる
そして、「水(H₂O)」の他にも物質が出来るが、
その物質を総称して「塩(えん)」と呼ぶ
上記の中和反応の例における塩はそれぞれ、
• 「NaCl(塩化ナトリウム)」
• 「BaSO₄(硫酸バリウム)」