ペットボトル入りの牛乳
牛乳のペットボトルでの販売は、
もともとは、省令により認められていなかったが、
2007年の省令の改正により、現在は認められている
それにも関わらず、
ペットボトル入りの牛乳を見かけないのには、
「衛生面の問題」と「コストの問題」が考えられる
衛生面の問題
栄養価が高く雑菌の繁殖がしやすい牛乳は、
ペットボトルに入れて持ち運びやすくなると、
衛生面を保てない可能性が高くなる
コストの問題
製造設備のペットボトル用への切り替えや、
衛生面を十分に確保するためのシステムの開発などに
多額の費用が掛かるが、それに見合う売上が見込めない
衛生面の問題
牛乳には多くの栄養成分が含まれており、
他の飲み物と比べて雑菌が繁殖しやすい
(保存においては冷蔵保存の必要がある)
このため、ペットボトルを採用する利点である、
「持ち運びが便利」という点が生かせない
(持ち運ぶと「長時間常温にさらす」ことが多くなる)
想定される問題
メーカー側が消費者に、
常温で長時間持ち運ばないよう注意喚起しても、
一部の消費者が持ち運んでしまうことが想定される
口内細菌の混入
ペットボトルは、直接口をつけて飲むことも多く、
飲料内に口内細菌が混入しやすいので、
これもまた、雑菌繁殖の大きな原因となる
食中毒によるリスク
消費者の不注意が原因で発生した食中毒でも、
メーカーの責任を問われる可能性もあるので、
ペットボトル入りにするのはリスクがある
コストの問題
牛乳は、紙パックや瓶入りで出回っており、
製造工場もそれに応じた設備になっている
この設備をペットボトル用にすれば製造可能だが、
切り替えるのには多額の費用が必要
衛生面を十分に確保するためのシステム開発や、
専用ボトルの開発が必要であるなど開発費もかかる
ペットボトル化
ペットボトル化することによる、
「コストの削減、需要増加」の実現は難しく、
投資資金の回収が見込めない
このようにメリットがあまりないため、
事業者としては、ペットボトル化に踏み切れない
規制の歴史
1951年
省令(乳等省令)において牛乳は、
衛生面から「紙パック」か「瓶」などでなければ
販売することはできないという決まりができた
1982年
ペットボトル飲料の販売が開始されたが、
牛乳のペットボトルでの販売は認められなかった
2007年
牛乳の消費量の減少をきっかけに規制緩和が進み、
省令が改正され、特性に注意(※)することを条件に
ペットボトルでも牛乳を販売することが可能となった
(※)特性に注意とは、
「消費者に対し取扱いに関する情報提供を行う」
といった内容や、ペットボトル素材に関する注意など
日本乳業協会における基準
日本乳業協会が規定する牛乳に関する基準のうち
ペットボトルに関係するものは以下など
基本とする容量
• 常温で持ち運びしない一度での飲みきり容量
(350ml以下)
• 直接口で飲むこと及び常温で持ち運ぶことが無く、
開栓後は冷蔵保管がされる容量
(720ml以上)
表示
以下の内容を
容器の見やすいところに目立つように表示する
• 10℃を超える場所には長い時間置かないこと
• 開栓した場合は出来るだけ早く飲みきること
(飲みきり容量の場合)
• 容器に直接口をつけて飲まないこと
(冷蔵保管される容量の場合)
• 開栓後は出来る限り早く消費すること
(冷蔵保管される容量の場合)
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