油で揚げる料理を表す名称の違い
揚げる前の下準備の違いなどにより、
油で揚げる料理を表す名称の違いがある
【から揚げ】
主に「小麦粉や片栗粉」を付けて揚げる
(下味は付けても付けなくても)
【竜田揚げ】
「醤油、みりん」で下味を付け、
「片栗粉」をまぶして揚げる
【天ぷら】
「小麦粉、卵、水」を合わせたものを付けて揚げる
【フライ・カツレツ】
「(小麦粉)、卵、パン粉」を付けて揚げる
• 食材が魚介類、野菜など➝「フライ」
• 食材が肉類➝「カツレツ」
油で揚げる料理の歴史
食材を油で揚げる技術は、
室町~安土桃山時代頃にはすでに
中国やポルトガルなどから伝わっていたとされる
から揚げ(唐揚げ、空揚げ)
食材に「小麦粉や片栗粉」などをまぶし、油で揚げる
食材や味付けをする調味料に限定はなく、
衣も「小麦粉、片栗粉」のどちらでもよい
料理例
• 鶏のから揚げ(フライドチキン、チキン南蛮)
• ゴボウのから揚げ
• 軟骨のから揚げ
• イカ、タコのから揚げ
英語で揚げ物は「fry(フライ)」であり、
料理名としては「fried~(フライド○○)」となる
(フライドチキン、フライドポテトなど)
代表的なものは鶏肉のから揚げだが、
「鶏肉のから揚げ」に関して言えば、
醬油ベースの調味液で下味をつけるのが一般的
食材は鶏肉に限らず、
他の肉類や魚介類、野菜などを用いたものがある
名称の由来
油で揚げる料理のうち、粉を付けず素揚げしたものが
「空揚げ」とされるようになった
しかしいつしか、
粉を付けたものや下味を付けたものにも
用いられるようになっていった
唐揚げの「唐」
「唐」という漢字があてられている理由は、
中国風の揚げ物、中国から伝わった料理技術
ということを表すためであるとされる
(「唐」は中国の一時代の国名)
竜田揚げ
食材に「醬油、みりん」などを合わせた調味液で
下味をつけ、「片栗粉」をまぶして油で揚げる
料理例
• 鶏の竜田揚げ
• 鯨(くじら)の竜田揚げ
• 鯖(さば)の竜田揚げ
肉や魚など、比較的におい・癖の強い食材に
醤油などの調味料で下味をつけて揚げる
昔は「鯨の竜田揚げ」は給食の定番
(鯨肉は癖があり、竜田揚げが適していた)
名称の由来
軍艦「龍田」において供されていた料理で、
クジラ肉の生臭さを消すために生み出された
調理法であることからという説がある
「揚げた肉の色」と「衣の白い色」の混ざった様子を
竜田川(奈良)に浮かぶ紅葉に見立てた
とされる説もある
天ぷら
食材に「小麦粉、水、卵」などを
混ぜた衣を付け、油で揚げる
料理例
• とり天、かしわ天(鶏肉の天ぷら)
• えび天(海老の天ぷら)
• かき揚げ(刻んだ野菜を重ねた天ぷら)
• 磯部揚げ(衣に青海苔を混ぜた天ぷら)
野菜、魚介類、キノコ類などが一般的だが、
肉類(とり天、かしわ天)などもある
一般的な天ぷらは主に下味をつけないが、
鶏肉の天ぷらの場合は、醤油・生姜などで
下味を付けたりする
名称の由来
テンプラ
• ポルトガル語やスペイン語などに由来する
• 油を「天麩羅(あぶら)」と書いたものの音読
など、諸説ある
漢字の「天麩羅」
•「あぶら」を漢字で書いたもの
•「テンプラ」に当て字したもの
など、諸説ある
フライ、カツ(カツレツ)
食材に「(小麦粉)、卵、パン粉」を付け
油で揚げたもの
• 食材が魚介類、野菜など →「フライ」
• 食材が肉類 →「カツ(カツレツ)」
などと、大まかに分類される
カツ(カツレツ)の料理例
• トンカツ(豚肉のカツレツ)
• ビーフカツ(牛肉のカツレツ)
• チキンカツ(鶏肉のカツレツ)
• メンチカツ(挽肉のカツレツ)
鶏ササミは肉類でありながら
「ササミカツ」ではなく「ササミフライ」
と主に呼称されたりする
名称の由来
フライ(fry)
「フライ」には「揚げる」という意味があり、
本来であれば揚げ物全体を表すような名称
しかし、いつしか
日本において「○○フライ」などの料理は、
「卵、パン粉」を付けて揚げた料理を指す様に
カツレツ(cutlet)
カツレツとは「cutlet(肉の切り身)」のこと
切り身にした肉に衣を付け、フライパンで
バター焼きした料理に用いた名称とされる
(本来は揚げ物を意味する料理名ではない)
これがいつしか、
衣をつけてたっぷりの油で揚げるものと捉えられ、
「○○カツ」といった料理名で用いられるようになった
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