「刺身」と「お造り」の違い
「刺身」と「お造り」は基本的に同じものを指す
いずれも、新鮮な魚介類などの食材を
生のまま切り身にして食べる日本料理のこと
ハッキリした定義や使い分け方はないが、
以下の様な分類をされることがある
【刺身】
• 主に関東で用いられる言葉
• 魚介類に限らず新鮮な切り身料理全般を指す
• 切り身にしただけで、飾り付けもほとんどない
【お造り】
• 主に関西で用いられる言葉
• 基本的に魚介類の切り身料理を指す
• ひと手間かけ、盛り飾られたもの
関東・関西の違い
関東
武家社会において、
「切り身」の「切る」が縁起が悪いとされ、
主に「刺身」と呼ばれるようになったとされる
関西
「切る」も「刺す」も縁起が悪いとされ、
主に「お造り」と呼ばれるようになったとされる
対象の違い
【刺身】
魚介類に限らず、
新鮮な切り身全般の呼称として用いられたりする
(馬刺し、牛刺し、レバ刺し、鶏の刺身など)
【お造り】
基本的に魚介類に用いられる
盛りつけ方の違い
【刺身】
飾り付けがあまりない単純な切り身
【お造り】
魚介類の切り身の他、尾頭付きや船盛り、
個性的な盛りつけ方のものなどを呼んだりする
(タイのお造り、伊勢海老のお造りなど)
手間の違い
【刺身】
基本的に切り身にしただけの料理
【お造り】
切り身にしただけではなく、
ひと手間かけて造ったという意味も込められる
(見た目も美しく仕上げる)
丁寧な表現
「刺身」の丁寧語として「お造り」と言う地域もある
「刺身」と「お造り」の語源
刺身の語源
切り身にすると魚の種類が分からなくなるので、
切り身にその魚のヒレ、エラなどを「刺して」
目印にしたことが由来であるとされる
お造りの語源
調理を意味する「つくる」という言葉や、
魚の傷みを防ぐためにひと手間かけて「造る」ので
「造り身、お造り」と呼ばれるようになったとされる
「刺身」や「お造り」の歴史
新鮮な獣や鳥の肉、魚介類などを生のまま食べることは
歴史とともに始まったといえる
(現代でも野生の肉食動物がそうであるように)
そして、日本の歴史として、魚介類を生のまま
「切り身」にする料理も、古くから食され、
鎌倉時代には酢などに付けて食されていたとされる
(いわゆる「膾(なます)料理」)
室町時代に醤油がつくられはじめ、
江戸時代に入って醤油が普及していくと、
醤油を付けて食べる「刺身料理」が、
関東を中心に流行し、広まっていったとされる