ラグビーのポジション
ラグビーのポジションは大きく分けると、
「フォワード(FW):8人」と
「バックス(BK):7人」に分けられる
ただし、ラグビーでは攻撃と守備で
ポジションが分かれているわけではない
(「FW=攻撃、BK=守備」ではない)
主な役割
フォワード
• スクラムは基本的にフォワード8人で組まれる
• モールやラックで相手選手と体をぶつけ合う
• ラインアウトでボールを争奪する
など
バックス
• 獲得したボールを前に進め得点につなげる
• 抜け出してきた相手選手をタックルで止める
• キックで陣地を挽回する
など
ポジションの細かい分類
ポジションは以下の様に細かい分類がされ、
そのポジションに相対した番号がある
背番号は基本的にその番号をつけるが、
控え選手はそれ以外(16番以降)を付けるので、
ポジション番号と背番号が合致しないことはある
フォワード(8人)
• フッカー (1人:2番)
• ロック (2人:5番・6番)
• フランカー (2人:4番・7番)
• ナンバーエイト(1人:8番)
バックス(7人)
• スタンドオフ (1人:10番)
• センター (2人:12番・13番)
• ウイング (2人:11番・14番)
• フルバック (1人:15番)
フォワード(FW)
フォワードは「1番~8番」までの8人
ボール争奪戦が主な仕事で強靭な肉体が必要だが、
力強く突進して相手守備陣に切り込んだり、
バックスのように走力が求められたりもする
主な役割
• スクラムを組む
• ラインアウトで敵とボールを奪い合う
• モールやラックで相手選手と体をぶつけ合う
必要な能力
敵チームと激しくボールを奪い合うために、
相手選手に当たり負けしないような体格・パワー
FWの分類
フォワード(FW)は、スクラムを組む際の位置取りから、
以下の3つに大きく分けられる
• セカンドロー(2人):フロントローの後ろで支える
• バックロー (3人):スクラム最後列で押し込む
補足
現在主流の配列は「前:3人、中:4人、後:1人」
となっているが、分類による人数割合は以前のまま
フロントロー
スクラムの際には最前線を支える3人
(「フッカー:1人」「フロップ:2人」)
スクラムを組む際に最前列に位置するため、
「フロントロー」と呼ばれる
スクラムでは相手の最前列と直接組み合うため、
基本的に体格が良くパワーのある選手が担う
セカンドロー
スクラムの際には2列目を担う2人
(「ロック:2人」)
スクラムを組む際に2列目に位置するため、
「セカンドロー」と呼ばれる
長身でパワーのある選手が担うことが多い
バックロー(サードロー)
スクラムの際には最後列を支える3人
(「ナンバーエイト:1人」「フランカー:2人」)
スクラムを組む際に最後列(3列目)に位置するため、
「バックロー」もしくは「サードロー」と呼ばれる
現在の主流なスクラムの組み方としては、
フッカーは2列目外側に位置するようになっているが、
分類方法は変わっていない
FWの各ポジション
FWを細分化したポジションは以下の通り
【フロントロー】
• プロップ (2人)
• フッカー (1人)
【セカンドロー】
• ロック (2人)
【バックロー (サードロー)】
• フランカー (2人)
• ナンバーエイト(1人)
プロップ[1番・3番]
• スクラムでは最前列の左右で相手と直接組み合う
• 密集状態では、体ごと相手を押し崩す
名称の由来
プロップとは「支柱」といった意味合いの言葉
適性・必要な能力
がっしりした体型の選手が向いている
(スクラムの最前列に位置することなどから)
パワーがあることが要求されるポジション
日本代表の著名なプロップ
稲垣 啓太
プロップ(左)[1番]
スクラムの際に、最前列の左に位置する選手で、
「ルースヘッドプロップ」とも呼ばれる
(ルース=「緩い」)
プロップ(右)が相手の1番と2番に挟まれるのに対し、
プロップ(左)は相手の3番と右側の肩でしか組まず、
自身の左側が自由になるためにこう呼ばれる
プロップ(右)[3番]
スクラムの際に、最前列の右に位置する選手で、
「タイトヘッドプロップ」とも呼ばれる
(タイト=「きつい、かたくしっかりしている」)
プロップ(右)は相手の1番と2番に挟まれ、
窮屈な組み方になることから
フッカー[2番]
• スクラムでは最前列の中央で相手と直接組み合う
• スクラムで投入されたボールを足で後方に送る
• 密集状態では、体ごと相手を押し崩す
名称の由来
ボールを足で引っかけて (hook)
自陣後方に送り込むことから「フッカー」
適性・必要な能力
がっしりした体型の選手が向いている
(スクラムの最前列に位置することなどから)
ボールを足で扱う器用さも求められる
日本代表の著名なフッカー
堀江 翔太
ロック[4番・5番]
• スクラムでは2列目で支えて、スクラムを固定
• ラインアウトでは、主にジャンパーの役割を担う
• 密集状態では、体ごと相手を押し崩す
名称の由来
スクラムをLOCK(固定)させるという役割から
適性・必要な能力
身長と体重の双方が求められる
日本代表の著名なロック
トンプソン・ルーク、大八木 淳史
フランカー[6番・7番]
• スクラムの際に2列目のロックの外側に位置する
(もともとは3列目の左右に位置していた)
• 味方をサポートし相手を押し崩す、自ら突破する
• 守備側フランカーはタックルを狙いに飛び出す
名称の由来
フランカー(FLANKER)には、
「側に立つ」という意味合いがあるが、
「側面部隊」を意味する軍隊用語からとも言われる
適性・必要能力
攻守に活躍するための高い身体能力、運動量
スタミナ、タックルスキル、
先を読む力、状況判断能力なども必要とされる
日本代表の著名なフランカー
リーチ・マイケル
オープンサイド・ブラインドサイド
左フランカーが6番、右フランカーが7番であったが、
近年はスクラムが開始されるフィールドの位置で
左右のフランカーも入れ替わるのが一般的
試合の中で、スクラムから見てスペースの
• 広い側担当➝「オープンサイドフランカー」
• 狭い側担当➝「ブラインドサイドフランカー」
オープンサイドは特に豊富な運動量とアタッキング力、
ブラインドサイドは特にフィジカルと守備力が求められる
ナンバーエイト[8番]
• スクラムでは最後方からコントロールし、統率
• 守備・攻撃の両面においてチームの中心となる
• FWのリーダー、FWの花形とも呼ばれたりする
名称の由来
ポジション名の由来は「背番号8番」から
適性
運動量・身体能力(スピード・パワー)・判断力など
総合的に高い能力が求められる
日本代表の著名なナンバーエイト
アマナキ・レレイ・マフィ
バックス(BK)
バックスは「9番~15番」までの7人
攻撃ではスピードやステップを用いた突破や
正確なパスやキックなどのスキルを要し、
守備ではタックルで相手の攻撃を防ぐ
ラグビーでは相手ボールになったとしても
相手陣地でプレーをする方が得策とされており、
バックスがキックで陣地を挽回するプレーも多い
主な役割
• 獲得したボールを前に進め得点につなげる
• 抜け出してきた相手選手をタックルで止める
• キックで陣地を挽回する
必要な能力
広い範囲を動き回り攻撃や守備を行うスタミナ
確保したボールをどう攻撃に結びつけるか考える
明晰な頭脳、俊敏性、スキル
突破して前に進むスピード、強靭さ
BKの分類
バックスは大きく以下の3つに分類される
• スリークォーターバックス(4人):攻撃の実行部隊
• フルバック (1人):守備の舵取り
ハーフバックス(ハーフ団)
主にFWを指揮するスクラムハーフと
主にBKを指揮するスタンドオフの2つの総称
(「スクラムハーフ:1人」「スタンドオフ:1人」)
スクラムハーフはFWよりでプレーすることが多く、
スタンドオフはBKよりでプレーすることが多い
全体のポジションのほぼ真ん中に位置するため
ハーフバックスと呼ばれる
スリークォーターバック
主に攻撃の起点、攻撃の実行部隊となり、
相手守備陣の突破を図ってトライを狙う
(センター:2人、ウイング:2人)
守備では、
相手がキックしたボールの処理も大切な役目
スリークォーターバックスは、
日本語に訳すと「4分の3のバックス」
(ポジションを分割したときに4分の3に位置する)
フルバック
全体の最後尾に位置するポジション
(フルバック:1人)
守備を最後尾から統率し、
相手がキックしたボールの処理や、
逆に陣地の挽回を狙うキックなどを行う
BKの各ポジション
BKを細分化したポジションは以下の通り
【ハーフバックス】
• スクラムハーフ(1人)
• スタンドオフ (1人)
【スリークォーターバックス】
• センター (2人)
• ウイング (2人)
【フルバック】
• フルバック (1人)
スクラムハーフ[9番]
• スクラムではボールを投入し、後方で手で取り出す
(ナンバーエイトが取り出す場合もある)
• 密集状態から出されたボールをバックス陣にパス
名称の由来
スクラムと連携するハーフというところから
適性・必要能力
俊敏性、瞬間的な判断力、
運動量、パススキル、視野の広さが必要
体が小さくても充分に活躍できるポジション
日本代表の著名なスクラムハーフ
田中 史朗
スタンドオフ[10番]
• バックス陣を率い攻撃の起点となる司令塔的存在
• パスで展開、キック、自ら突破などを行う
• 密集から出たボールを受け取り、攻撃へと展開
(状況に応じて最も最適なプレーを選択)
名称の由来
スクラムから離れた(=スタンドオフ)ハーフ
というところから
イギリスでは、このポジションのことを
「フライハーフ (flyhalf)」 と呼ぶようになり、
国際的にはフライハーフと呼ばれることが多い
適性・必要な能力
正確なパススキル、キックスキル、
瞬時の状況判断力、試合の流れを読む力など
(求められる能力は高く、多い)
高いラグビーIQでゲームメイクする能力も必要
日本代表の著名なスタンドオフ
田村 優、平尾 誠二、ダン・カーター
ウィング[11番・14番]
• スピードやステップを駆使してトライを狙う
• 守備ではキックの処理、攻撃をタックルで止める
• 陣地を挽回するためのロングキックを行う
名称の由来
ウイングの名称は「翼」に由来
両サイドに広がったそのポジションを
「翼」に見立てたもの
適性・必要な能力
攻撃では、
スピード、スタミナ、ステップスキルが必要
守備ではタックルスキルや、
相手のキックに対応するキック処理能力も必要
日本代表の著名なウイング
松島 幸太郎、福岡 堅樹、山田 章仁、大畑 大介
オープンサイド・ブラインドサイド
単純に左右で配置を固定しているチームもあるが、
スクラムなどの位置によって
ポジションを入れ替えるチームもある
この場合、スクラムやポイントからスペースが
• 広い側担当➝「オープンウイング」
• 狭い側担当➝「ブラインドウイング」
オープンウイング
バックスラインの端で味方からのパスを待ち、
スピードで相手を振り切ってトライを取る
ブラインドウイング
相手のディフェンスが多くスペースが少ない場所を、
守備が乱れた一瞬を狙っての突破などを狙う
センター[12番・13番]
• ウイングへのパスを中継したり、自ら突破を狙う
• 時にはスタンドオフの位置でゲームメイクも行う
• スタンドオフの役割を担える選手も多い
適性
パススキル、スピード、当たり強さが必要、
スタンドオフと同様に適格な判断力も求められる
スペースがない場面でのコンタクトプレーが多く、
他のバックス選手に比べると大型の選手が多い
日本代表の著名なセンター
大畑 大介、平尾 誠二
インサイド・アウトサイド
内側に位置するセンターを「インサイド」
外側に位置するセンターを「アウトサイド」
と呼んだりもする
インサイドセンターはスタンドオフに近く、
パススキルや突破力が求められる
アウトサイドセンターはウイングに近く、
ランニングスピードが求められる
フルバック[15番]
• 最後尾でバックス陣を統率、守備の最後の砦
• 相手のキックに対応して処理する
• 最後尾から陣地を挽回するキックを行う
適性・必要な能力
キック力やキックの正確性、
相手の攻撃を防ぐためのスピードや当たり強さが必要
ポジショニングスキルやゲームの流れを読む力も必要
日本代表の著名なフルバック
五郎丸 歩、松島 幸太朗