「こいくち」と「うすくち」の違い
醤油の「こいくち」と「うすくち」は、
塩分濃度ではなく、色の濃さを表している
(塩分濃度は「うすくち」の方が高い)
【こいくち醤油】
• 色が濃い
• 塩分濃度は「うすくち」より低い(約16%程度)
• 香り豊かでコクのある味わい
• 一般的に「醤油」と言うと「こいくち醤油」を指す
【うすくち醤油】
• 色が薄い
• 塩分濃度は「こいくち」より高い(約18%程度)
• 香り、コク(味わい)は控えめ
こいくち醤油(濃口醤油)
• 色が濃い
• 塩分濃度は約16%程度(うすくちより低い)
• 香り豊かでコクのある味わい
補足
• 全国的に一般的に使用される
• 醤油の国内生産量のうちおよそ8割を占める
用例
基本的に料理全般で使うことができる
(できあがりの色にこだわらない料理)
• つけ、かけ用としての卓上調味料
• 出汁、タレなどの調理用
• 煮物、焼物などの調理用
など
製法
主な原材料
「大豆」「小麦」「塩」
そのほか「穀類(主に米)」など
つくり方
①. 蒸した大豆に、ほぼ等量の炒って砕いた小麦を混ぜ、
麹菌を加えるなどして「醤油麹」をつくる
(米などの穀類を加えてもよい)
②. 醤油麹と塩水を混ぜ合わせて「もろみ」を作り、
これを発酵、熟成させる
③. この「もろみ」を布に包んで絞り、
絞って出来た醤油を加熱殺菌する
歴史
江戸時代の関東地方が発祥とされる
これが広く使用されるようになり、
日本全国で使われているようになっていった
うすくち醤油(淡口醤油、薄口醤油)
• 色が薄い(淡い)
• 塩分濃度は約18%程度(こいくちより高い)
• 香り、コク(味わい)は控えめ
補足
• 主に関西で使用される
• 醤油の国内生産量のうち13~15%程度
「こいくち」より塩分が高い理由
醸造食品である醤油は、発酵・熟成が進むほど
色が濃くなり、香りやコクが豊かになる
うすくち醤油の場合は、色を淡くするために
食塩を多めにするなどして製造している
(発酵・熟成が抑えられる)
用例
醤油の味をつけたいが、
素材の色合いや風味も活かしたい料理に使う
• 茶碗蒸し
• うどんつゆ
• 魚や野菜の煮物
• お吸い物
• だし巻き玉子
など
製法
主な原材料
「大豆」「小麦」「塩」
そのほか「米、甘酒、水あめ」など
つくり方
主な部分は「こいくち醤油」とほとんど同様
うすくち醤油ならではの工程
• 食塩を多めに使用
• 管理温度を低く
• 醸造期間を短く
これにより、発酵・熟成が抑えられ、
色が淡く、香りやコクが控えられた製品となる
また、仕上げに甘酒や水あめを加えることも多い
歴史
江戸時代の兵庫・龍野(たつの)が発祥とされる
そこから京都に伝わり
京都の精進料理や懐石料理などに使われ、
主に関西で使われるようになったとされる
背景
京料理など関西の料理では、昆布出汁を多く使い、
その風味や色合いを重視する傾向が強かったので
香りが控えめで、色の淡い醤油が求められた
漢字表記「淡口」「薄口」
商品には「うすくち醤油」といったように、
ひらがなで記載されていることも多いが、
漢字で表す場合「淡口」や「薄口」が使われる
醤油業界では「淡口」が一般的とされるが、
その理由は、「薄口」と表記した場合に、
味や塩分が薄い醤油だと誤解される可能性があるため
日本農林規格(JAS)による定義
こいくちしょうゆ
醤油のうち、大豆にほぼ等量の麦を加えたもの
又はこれに米等の穀類を加えたものを
醤油麹の原料とするもの
(「しょうゆの日本農林規格・第2条」より)
うすくちしょうゆ
醤油のうち、大豆にほぼ等量の麦を加えたもの
又はこれに米等の穀類もしくは
小麦グルテンを加えたものを醤油麹の原料とするかつ、もろみは米を蒸し、もしくは膨化したもの
又はこれをこうじ菌により糖化したものを
加えたもの又は加えないものを使用するもので、
製造工程において色沢の濃化を抑制したもの
(「しょうゆの日本農林規格・第2条」より)