卵の賞味期限
卵の賞味期限とは、
「安心して生食できる期限」を示したもの
(適切に保存されていることが条件)
賞味期限を過ぎた卵
賞味期限を過ぎてしまった卵も、
加熱調理すれば安心して食べることができる
加熱の目安は、
中心部が「75℃以上で1分以上」の加熱
賞味期限の設定
食中毒防止の観点から、
サルモネラ菌の菌数の変化を基準に設定している
サルモネラ菌が卵内に混入していた場合に、
食中毒を引き起こすほどに増殖するまでの時間を
計算して割り出された期間
そして、実際には、
この期間からさらに余裕をもって短めに設定している
ハンフリーの計算式
イギリスのハンフリー博士の研究に基づいた、
卵の生食期限を算出するための計算式
「 86.939-4.109 × 温度+0.048 × 温度 × 温度 」
(菌の急激な増加が起こるまでの日数)
この計算式で求められた日数に、
購入後の冷蔵保存期間として「7日間」を加えた日数を、
生食できる期間としたものが、以下などの通り
卵の保存温度と生食できる日数
• 10℃ ➝「57日」
• 15℃ ➝「43日」
• 20℃ ➝「30日」
• 25℃ ➝「21日」
• 30℃ ➝「13日」
など
補足
• 10℃を下回る時期、環境➝「57日」の保存が可能
• 30℃を超える時期、環境➝「13日」の保存が可能
そして実状は、短い日数に合わせ、
年間を通して「約2週間(14日)程度」を
賞味期限として設定している場合が多い
生卵と加熱卵の保管
卵は無菌状態で殻に包まれ、
溶菌作用のようなものがある酵素「リゾチーム」が
白身に含まれているため、簡単には腐らない
ただし熱を加えると、
リゾチームの働きが無くなってしまうため、
生の場合に比べて菌に汚染されやすくなってしまう
火を通した方が日持ちするイメージがあるが、
卵の場合は決してその通りではない
保存方法
卵は冷蔵庫で保存
サルモネラ菌増殖の環境などを考えると、
安定的に10℃以下で保存されていれば、
長期保存できる
一般に冷蔵庫内の温度は5℃前後
(0℃~10℃の範囲内)
サルモネラ菌は5℃以下では増殖せず、
10℃程度であっても、増殖は少ない
店で常温保存の理由
販売されている卵は、
常温で保存されている場合が多い
これは、店内と持ち帰りの際の温度差により
卵殻に結露がつかないようにするため
これによって、以下などが防止できる
菌の増殖
殻に菌が付着していた場合に、
卵殻に水滴がつくと、菌が増殖しやすくなる
菌の卵内侵入
卵殻には気孔という穴がいくつも空いており、
結露がつくことによって、細菌が気孔を通じて
卵の中に入り込む可能性が高くなる
補足
常温といっても、風通しの良い冷暗所などで保存
(店内など温度管理されている場合もOK)
直射日光が当たる場所だったり、暑すぎた場合は、
サルモネラ菌などが増殖したり、傷みが早くなる
卵の鋭端を下にして保存
卵の鋭端(尖った方)を下にする理由は以下など
細菌の侵入防止
鈍端(丸い方)には「気室」がある
こちらを上にして保存することで、
卵が古くなることで内部で浮いてくる卵黄が、
卵殻に直接触れて、細菌に侵されやすくなるのを防ぐ
殻の強度
鈍端よりも鋭端の方が殻が厚く強度が強い
(衝撃によるヒビ割れ防止につながる)
卵は洗わない
卵を水で洗うと、表面のクチクラ層が剥がれ、
卵殻に空いている1万個程度あるとされる気孔から
細菌が内部に入る危険性が高くなる
また、水分が殻に残ることで、
細菌を繁殖させることがある
このため、汚れが気になる場合は、
乾いた布などで、軽く拭きとるのが良いとされる
クチクラ層
卵の表面はクチクラ層で覆われており、
卵の中へ細菌などが進入するのを防いでいる
洗ったり布などで拭くと、
この卵の表面のクチクラ層が剥がれてしまい、
細菌が卵内に入りやすくなる
洗卵
市販されている卵の多くは、
GPセンター(洗卵選別包装施設)において
「洗卵」が行われて出荷されている
GPセンターでは、
厚生労働省が定めた衛生管理要領に従い、
きめ細やかで着実な洗卵を行っている
洗卵
150ppm以上の次亜塩素酸ナトリウム溶液
又はこれと同等以上の効果を有する殺菌剤を用いる
次亜塩素酸ソーダで卵殻表面を洗浄、殺菌し、
すぐに乾燥させて包装する
洗卵するとクチクラ層が無くなってしまうが、
卵殻の汚れや細菌もきれいに洗い流すので衛生的
ドアポケットで保存しない
冷蔵庫のドアポケットで保存すると、
扉を開閉する際に振動が加わり、
卵にヒビが入ってしまう可能性が高くなる
また、扉付近は、
冷蔵庫の奥と比べると温度変化も激しくなる
これらは菌が繁殖する原因にもなりうるため、
卵は、冷蔵庫内の温度が安定する場所に
パックのまま保存することが推奨される
補足
パックのまま保存することで、
殻にサルモネラ菌が付着していた場合に
他の食品へ移るのを防ぐ効果も期待できる
卵の殻にヒビが入っている場合は生食を避け、
火を通して食べることが推奨される
臭いの強いものを避ける
卵の気孔は外の空気を吸収しているため、
周りの臭いも一緒に吸収したりする
臭いの強いもののそばに保管すると
卵に臭いが移ってしまう可能性がある
卵を割るのは使う直前
割った卵は、卵黄が卵白から守られないため
細菌に侵されやすく傷みやすくなる
(溶いたものは、さらに傷みやすくなる)
このため、卵は割り置きせず、
割った後はすぐに消費、調理をすることが
望ましいとされる