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「酸性雨」の原因、基準、影響など

酸性雨(さんせいう)

環境問題の1つで、
大気汚染によって降る酸性の雨のこと

主に石炭・石油などの化石燃料を起源とする
酸性物質が雨に溶け込み、強い酸性を示す現象
(霧、雪、霜などの場合も同様の現象が見られる)

 

 

 

酸性雨の原因

工場や自動車などのエネルギー源である
石炭・石油などの化石燃料を燃やすことで、
硫黄酸化物(SOx)」や「窒素酸化物(NOx)」が発生
(工場や自動車から排出される排気ガスなど)

これらが大気中で紫外線・水分・酸素などと反応し、
硫酸や硝酸などの酸性物質となり、
雨に溶け込むことで、雨の酸性度合いが強くなる

また、
原因物質の発生源は、産業活動に伴うものばかりでなく、
火山活動など自然起源のものもある
(噴火による硫黄酸化物、窒素酸化物の発生)

 

 

 

酸性雨の基準値

雨は大気中に含まれる二酸化炭素を吸収して降り、
大気汚染物質の影響がない一般的な雨でも、
やや酸性を示す(pH6.5~5.5程度)

大気中の二酸化炭素が十分溶け込んだ場合、
pH値は5.6になるとされ、これよりも値が小さく、
酸性度合いの強いものを一般的に「酸性雨」と呼ぶ
pH5.6以下の酸性度合いの強い雨

 

水素イオン濃度(pH:ペーハー)

物質の酸性、アルカリ性の度合いの指標として
一般に水素イオン濃度指数(pH)が用いられる

中性(純水)のpH➝「7.0
酸性度合いが強いほど低くなる➝「7以下
アルカリ性度合いが強いほど高くなる➝「7以上
pH値の範囲は0~14

 

 

 

被害エリア

大都市や工場地帯では大量の汚染物質が排出され、
強い酸性を示す雨がみられる

また、原因となる物質が放出された後、
風などによって数百~数千km離れた場所へ運ばれ、
原因発生とは別の場所で酸性雨として降ることもある

このため、
国境を越えた広域的な改善の取り組みが必要

日本の場合

中国の工業化の増加による、
大気汚染物質(主に石油・石炭の燃焼による)も
偏西風に乗って流れてきているとされる

酸性雨被害の目立つ地域

ヨーロッパ各地域、カナダ、アメリカ、中国など

 

 

 

影響

酸性雨における影響は以下など

• 海、河川、湖沼、土壌、森林や、生態系に影響
• コンクリート、大理石、金属を溶かす
• 金属を錆びさせる
• 人体への影響

 

海、河川、湖沼、土壌、森林や、生態系に影響

酸性雨によって海、河川、湖沼が酸性化すると、
そこに生息する生物が減少、または死滅
また、水中の植物にも影響がある

森林地帯に酸性雨が降った場合、土壌が酸性化し、
樹木は育ちにくくなり、森林全体が枯れてしまう
また、そこに生息する生物も減少してしまう

 

コンクリート、大理石、金属を溶かす

酸性雨は、コンクリート、大理石、金属などを溶かし、
歴史建造物や文化財に被害を与える

また、土壌に設置されている金属が溶け、
河川などに流入することで、生態系に被害を与える

 

金属を錆びさせる

銅像など金属を酸化し、サビを発生させる

 

人体への影響

髪の色に影響を与えたり、
目、喉、鼻、皮膚への刺激などが起こったりする

 

 

 

人為的な酸性雨の起源

酸性雨は、19世紀半ばイギリスなどで
産業革命による工業化が急激に進んだことにより
その被害が出始めたと考えられる

これを最初に指摘したのはイギリスの化学者、
1870年代に発表された論文の中で
雨が酸性を帯びていることを指摘

実際のデータに基づき酸性雨が解明されたのは、
1960年代、スウェーデンの土壌学者が研究、
研究結果を論文で発表

 

 

 

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