天地無用(てんちむよう)
対象物(荷物)が破損などする恐れがあるため、
「上下逆さまにして取り扱ってはいけない」
ということを示す用語
しかしながら、
「上下逆さまにしてもよい」と、
誤った認識をされていることも少なくない
用いられるケース
運送業界で主に用いられる用語で、
一般的に運送する荷物の外装などに記される
(シールなどによって記す)
補足
運送会社が専用シールを用意していたりするが、
特に明示しないといけないという規定はない
また、「天地無用」を明示することにより、
特別な料金が発生するということもない
雑貨店で販売されているものを利用したり、
手書きで段ボールなどに直接書いても良い
「天地」と「無用」の意味
天地
主な意味合いは、「天(空)と地面」
「荷物などの上下(上面、下面)」の意味合いもある
無用
大きく分けると以下の4種類に分類される
①. 役に立たないこと。使い道のないこと
(無用の長物)
②. いらないこと。不要
(遠慮無用、心配無用、問答無用)
③. 用事のないこと
(無用の者立ち入るべからず)
④. してはいけないということ。禁止
(天地無用、立入り無用、開放無用、落書き無用)
天地無用における「無用」
天地無用における「無用」は、
④の「いけない」とか「禁止」などの意
(➝天地を逆にしてはいけない)
ただし「無用」という語が、「関係ない、不要」
などといった意味合いで使われることから、
意味が勘違いされている場合も多い
(➝天地は関係ない、気にしなくても良い)
「天地無用」では言葉足らず
「無用=不要」として解釈した場合
「上下は不要(上下は気にしなくてよい)」
という意味合いになり、言葉として違和感を感じない
ただし、本来の意味合いとは異なる
「無用=禁止」とした本来の解釈
「上下禁止、上下はいけない」となり、
逆さまにすることを意味する語がないので、
説明不足の感がある
このように、本来の意味をイメージさせるには
「天地無用」では言葉足らずな感じがあることも、
意味を間違えて捉える要因のひとつと考えられる
天地無用の語源
天地無用は、もともとは、
「天地入替無用」「天地顛倒無用」「天地混同無用」
などを略したものであるとされていたりもする
また、
「天を地に用いる無かれ」という言葉から、
「天地無用」という用語が誕生したという説もある
【天地入替無用】
上下の入替(逆さまにすること)禁止
【天地顛倒無用】
上下に顛倒(ひっくり返すこと)禁止
【天地混同無用】
上下に混同(ごった返すこと)禁止
表示の変更
「天地無用」の表示が勘違いを招くことを懸念し、
「この面を上に」や「逆さま厳禁」といった表示を
使用している場合もある
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