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【スキー競技】「ジャンプ」の種目、採点方法、用語など

スキージャンプ

ノルディックスキー競技のひとつ

ジャンプ台での助走・踏切を利用して飛び出し、
飛行距離と飛行中の姿勢や着地(飛型)の美しさを競う
(「美しく、遠くへ飛ぶ」ことを競う)

 

種目

• ノーマルヒル
• ラージヒル
• フライングヒル

主に個人戦で行われるが、
大会によっては団体戦も行われる

 

 

 

ジャンプ競技の分類

ジャンプ競技は、「ヒルサイズ:HS」という
踏切台の先端から安全に着地できる目安となる地点
(ランディングエリア限界点)までの距離で分類される

K点は飛距離ポイントを計算する際の基準

【ノーマルヒル】
[HS] 85~109m(K点:75~99m)

【ラージヒル(※)
[HS] 110m以上(K点:100m以上)

【フライングヒル】
[HS] 185m以上(K点:170m以上)

(※)競技規則により、
ラージヒルでは踏切台先端から着地区間終点の
垂直距離が88mを超えるものは公認されない
(ラージヒルは実質上「HS=145m」が最大)

 

 

 

K点

K点とは、
ドイツ語の「Konstruktionspunkt」の頭文字で、
「ジャンプ台の建築基準点」という意味合い

この位置を境に着地滑走路の傾斜曲率が変わり、
着地斜面上に赤い線で示される

 

もともとの目的

そもそもの目的はジャンプ台の設計上、
これ以上の距離を飛ぶと危険という「極限点」を意味し、
K点を超えないように助走の距離などが調整されていた

現在の意義

以前はK点を越える飛行は危険とされたが、
滑空や着地の技術向上で安全に着地できる飛距離が伸び、
極限点ではなく、「飛距離ポイント計算の基準」となった

 

 

 

得点

飛距離をポイントとした「飛距離点
(60点が基準)

ジャンプ、着地の美しさを採点した「飛型点
(満点は60点)

この2つの合計を、1回のジャンプの獲得ポイントとし、
2回のジャンプの合計ポイントで勝敗を競う
(天候により、1本目のみで競技終了となる場合もある)

その他に、「補正点」として、
•「ウインドファクター(風による影響)」
•「ゲートファクター(スタート位置による影響)」
といったものを考慮した加点、減点などを行ったりもする

 

 

飛距離点

飛距離点は、K点を基準として「60点」とし、
着地点とK点との距離に応じて1mごとに点数を加減
(飛距離がK点以上なら加点、K点以下なら減点)

加減する点数は、K点の長さによって異なる

【K点=80~99m】(ノーマルヒル相当)
➝1mにつき「2.0点」

【K点=100~169m】(ラージヒル相当)
➝ 1mにつき「1.8点」

【K点:170m~】(フライングヒル相当)
➝1mにつき「1.2点」

 

計測点(着地地点とされる点)

• 計測点は、着地の際の両足の中間点
(スキー板そのものは基本的には無視される)

• 両スキーがランディングバーンに触れた地点で計測
(片足だけで着地の場合は、片足が着地した地点)

• 転倒の場合は、体が触れた時点
(体の一部がランディングバーンに触れた地点)

• 飛距離は「50cm単位」で計測される
(飛距離点の計算においては「×0.5」)

 

 

飛型点

飛型点の採点は、
「空中、着地、アウトラン(転倒ライン通過まで)」
のそれぞれにつき、姿勢と動作の基準に基づき行われる

5人の飛型審査員が、
「空中姿勢、安定性、着地姿勢」などを審査し、
それぞれが0.5点単位の減点法で採点
(各審判員の持ち点は「20点」)

公平を期するため、
最高点と最低点を除いた3人の合計が飛型点となる
(満点は「60点(3×20点)」)

 

減点の例

減点箇所、理由は公表される

• 飛行中の膝の伸びやスキーの位置が不適切
(最大5点の減点)

• 着地時にテレマークを入れられなかった
(2点減点、最大4点の減点)

• 着地時にテレマークを入れたが不安定など
(最大1.5点の減点)

• 着地後の安定感がないなど
(最大7点の減点)

• 転倒
(最大10点の減点)

 

 

補正点

ウインドファクター

風速に応じて、

• 向かい風の場合は「減点」
• 追い風の場合は「加点」

風の影響で得られる浮力などが変わり、
飛行距離に影響するため、このように補正する

 

ゲートファクター

基本のスタート位置より、

• 高いほど「減点」
• 低いほど「加点」

スタート位置によって助走スピードが変わり、
飛行距離に影響するため、このように補正する

 

【バーの位置を高くした場合】
飛距離が伸びやすいが、ゲートファクター減点がある

【バーの位置を低くした場合】
飛距離が伸びにくいが、ゲートファクター加点がある

 

基本のスタート位置

基本のスタート位置は、選手の安全を考慮して、
競技運営委員が各ラウンドごとに決める
(飛び過ぎないように考慮)

 

 

 

競技内容の重点

助走

しゃがみ込むような助走姿勢で風の抵抗を低減し、
スピードを得る

踏み切り

踏み切り地点において、立ち上がる反動力で飛び出す
(踏み切り方向、タイミングが飛距離に大きく影響する)

空中姿勢

• 静止した状態が良いとされる
• 時代によって理想の形は変化してきている
(スキーを「V字型」「直列型」など)

着地

着地姿勢は、テレマーク姿勢が理想とされる

着地後

着地後でも、転倒ラインを越えるまでの間に
手をついたり、転んだりすると飛型点が減点される

 

 

 

テレマーク(Telemark)

スキージャンプにおける「テレマーク」とは主に、
両手を水平に、脚を前後に開いて着地する姿勢のこと

ただし「テレマーク」という言葉は、姿勢の他に、
スキーのスタイルや用具のことを表す時にも用いられる

 

テレマーク姿勢の意義

テレマークにての着地には、
「選手の安全を守る」という意義がある

スキージャンプは、
着地時に無茶をすれば、飛距離を伸ばせられるが、
そうすると転倒の可能性が高くなり危険
(大きな怪我に繋がる危険性がある)

そこで、
テレマーク姿勢を入れると点数が高くなるようにし、
選手に無茶な着地をさせないようにしている
(無茶な着地では、テレマークは入れにくい)

 

 

 

用具

スキー板

以下、2017年時点での形式
(スキー板の長さは、度々規則が改定される)

【幅】
95mm以上105mm以下

【長さ】
「身長」×「BMI値に対応した係数(137~145%)」

BMI値 = 「体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)」
(ここでの「体重」は、競技用スーツ・シューズを含む)

 

スーツ・保護具

全身スーツとヘルメットを着用
(スーツは厚さや通気性などの規定がある)

 

 

 

競技場の構成

ジャンプ競技場の構成は、大きく分けると以下の通り

①. 助走路(アプローチ、インラン)
②. 踏切台(カンテ)
③. 着地斜面(ランディングバーン)
④. 減速区間(ブレーキングトラック、アウトラン)

 

踏切台の勾配

踏切台は、上向きのようにみえるが、
実際には下向きに10度前後の勾配が付けられている
(上向きだと、宙返りしてしまう危険がある)

 

サマージャンプの場合

雪がない状態のサマージャンプの場合、
セラミック製のレールを使用した助走路と
プラスチックを敷いたランディングバーンなどで構成

 

 

 

スタート地点

スターティングバーの位置

スターティングバーの基準位置は、
選手の安全を前提として飛び過ぎなどを考慮し、
競技運営委員が各ラウンドごとに決め、変更される
(風向き、風速、その他気象条件によって)

そして、「ゲートファクター」を考慮しながら、
コーチや選手の判断で上下したりする

 

シグナルの種類

スタート予定の選手に
競技進行状況を知らせるための目印として、
「シグナル」と「デジタルタイム表示板」が使用される
(シグナル=「赤、黄、青」の信号)

 

赤信号(準備状態)

デジタルタイムは、
状況に応じた秒数からゼロまでカウントダウンされる
(運営委員会の必要に応じてタイムは停止される)

黄信号(スタート準備)

信号が黄色に変わると、
競技者は、スタート位置にポジションを取る
(黄信号は「10~45秒」で青信号に変わる)

天候やアクシデントによっては、再び赤信号となる
(競技者はスターティングバーから離れ、戻る)

青信号(スタート)

信号が青に変わると、
規定秒数以内にスタートを切らなくてはならない
(規定秒数は大会によって異なるが「5~15秒」ほど)

選手がスタートを切ると、信号は赤信号に変わる

 

 

 

記録(バッケンレコード)

ジャンプ台ごとに形状や条件が異なり、
また、大会ごとに天候条件も異なったりするため、
共通の最高記録といったものは設定できない

そのため、それぞれのジャンプ台での
「バッケンレコード(最長不倒記録)」
といった形で、公式の最高記録として認定される

「バッケン」とは、
ノルウェー語で「丘」などの意味合い

 

 

 

主な国際大会

国際大会としては主に、
「FIS(国際スキー連盟)」が主催する大会がある

そのほか、
最も注目度が高いのは冬季オリンピック
(「IOC(国際オリンピック委員会)」が主催)

 

 

FISワールドカップ

ウィンターシーズンに世界各地を転戦する

個人戦では、個人ポイントを積み上げ、
シーズン終了時点で総合順位が決まる

年末年始に4連戦で競い合う
「スキージャンプ週間(Four Hills tournament)」は
ワールドカップと兼ねており、ポイントも加算される

 

【男子】

• 個人戦(ラージヒル、フライングヒル)
• 団体戦(ラージヒル、フライングヒル)

全ての種目が毎試合ごとに行われるわけではなく、
競技会場などによって競技種目が異なったりする

 

【女子】

主に個人戦の「ノーマルヒル」で競技する
(年に2~3回ほど、ラージヒルも開催される)

団体戦の「ノーマルヒル」も開催されたりする
(競技人口が多くないため、常時開催されるかは不明)

 

 

FISサマーグランプリ

サマーシーズンに世界各地を転戦する

• 男子個人戦(ノーマルヒル、ラージヒル)
• 男子団体戦(ノーマルヒル、ラージヒル)
• 女子個人戦(ノーマルヒル)

 

 

FISノルディックスキー世界選手権

2年に一度の大会

• 男子個人戦(ノーマルヒル、ラージヒル)
• 男子団体戦(ラージヒル)
• 女子個人戦(ノーマルヒル)
• 男女混合団体戦(ノーマルヒル)

 

 

IOCオリンピック冬季競技大会

4年に一度の大会

• 男子個人戦(ノーマルヒル、ラージヒル)
• 男子団体戦(ラージヒル)
• 女子個人戦(ノーマルヒル)

 

 

 

競技方式

スキーワールドカップや冬季オリンピックなど、
多くの大会では、「個人競技」と「団体競技」がある

 

 

個人競技

• 1本目を終えた時点で、上位30人に絞る
(飛型点・飛距離点を合計)

• 2本目は順位の低い順に行う
(1本目の最高成績者が最終ジャンパー)

 

個人競技の方式には、そのほか、
「トーナメント形式」や「ノックアウト方式」
といったものがある

 

トーナメント方式

【男子】

予選の上位16人が、1対1で対戦して行き、
準々決勝(16→8人)、準決勝(8→4人)となり、
決勝は4人の中で最高得点者が優勝者となるもの

【女子】

予選の上位4人が1対1で対戦して行き、
準決勝(4→2人)、決勝戦も1対1で行われる
(参加選手の増減によって変わる)

 

KO(ノックアウト)方式

スキージャンプ週間で適用されている方式

予選通過50名が、
2人1組(1対1)の25組で決勝1本目を競う

決勝2本目は、
「勝者25名」と「敗者の上位5名」の計30名で競う

 

 

団体競技

• 4人の選手の各2本の合計で競われる
• 4人を4組に分け,各組ごとに競技が進められる
(個人競技のように成績による順番の変更はない)

 

 

 

歴史

スキージャンプは、1840年頃の
ノルウェーのテレマーク地方が発祥の地とされる
(着地姿勢などの名称はこの地名が由来とされる)

スキーで遊んでいるうちに自然発生的に始まり、
競技となっていったとされたり、
処刑手段に由来するという説もある
(ただし、特に史料や根拠はない)

最初のジャンプ競技会は、
1877年にノルウェーで行われた

 

 

 

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