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領収書の宛名の必要性と「上様」

領収書

領収書は支払いの事実を証明するもので、
以下などとして利用される

• 決算申告等の証拠書類(消費税法に準ずる)
• 企業、個人での経費計上(会社規定などに準ずる)
• 二重の請求を受けないための証明書

 

法律上の要件

消費税法上における領収書の要件は、
仕入れ税額控除を受けるためのもの
仕入れにかかった消費税を控除

それ以外の領収書の要件は法律上で定められていない

 

 

 

領収書の宛名の必要性

税務上における宛名の必要性

「消費税法・第30条第9項第1号」において、
領収書(請求書等)として認められるためには、
以下の5点の記載が必要とされている

イ. 書類の作成者の氏名又は名称
ロ. 課税資産の譲渡等を行った年月日
ハ. 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
ニ. 課税資産の譲渡等の対価の額
ホ. 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

(「消費税法・第30条第9項第1号」より抜粋)

解釈

イ➝「領収書発行者」
ロ➝「取引日時」
ハ➝「取引内容」
ニ➝「取引金額」
ホ➝「領収書受取人」(宛名に該当

 

例外① 事業による例外

「消費税法・第30条9項1号」と
「消費税法施行令・第49条4項」を解釈すると、
宛名を記載しなくてもよい事業がある

請求書とは、、

当該課税資産の譲渡等が小売業その他の
政令で定める事業に係るものである場合には、
イからニまでに掲げる事項

(「消費税法・第30条9項1号」の一部抜粋)

解釈

請求書とは、
政令で定める事業の場合は、イ~ニの記載が必要
(「ホ:領収書受取人の名称」は必要ではない)

政令で定める事業

1) 小売業、飲食店業、写真業及び旅行業

2) 一般乗用旅客自動車運送事業
(タクシーなど)

3) 駐車場業
(不特定かつ多数の者に駐車場を提供するもの)

4) 1~3に準ずる事業で
不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行うもの

(「消費税法施行令・第49条4項」より抜粋、解釈)

 

例外② 3万円未満の経費

「消費税法・第30条7項」と
「消費税法施行令・第49条1項」の解釈より、
3万円未満の場合、帳簿に記録すれば領収書は必要ない

課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等
(その他の政令で定める場合については、帳簿)

(「消費税法・第30条7項」の一部抜粋)

その他の政令で定める場合

1) 合計額が3万円未満である場合

2) 合計額が3万円以上である場合において、
交付を受けなかった、やむを得ない理由があるとき

(「消費税法施行令・第49条1項」より抜粋)

「帳簿」に記録する内容

イ. 課税仕入れの相手方の氏名又は名称
ロ. 課税仕入れを行った年月日
ハ. 課税仕入れに係る資産又は役務の内容
ニ. 課税仕入れに係る支払対価の額

(「消費税法・第30条8項」より抜粋)

解釈

イ➝「領収書発行者」
ロ➝「取引日時」
ハ➝「取引内容」
ニ➝「取引金額」

 

 

経理上における宛名の必要性

業務と支払い内容に関連性があるかどうかで、
経費として認めるかが判断されるため、
経理上は「宛名なしの領収書」であっても問題はない

しかし、会社の規定などによって、
「宛名なしの領収書」を認めていない場合があるので、
会社の規定などを確認しておくことが重要

また、あまりに宛名なしが多いと、
企業の経営姿勢などを疑われる可能性もあるので注意

 

 

 

宛名の正式名称の必要性

消費税法上は、
正式名称でないと認められないということはない
税務調査時に認められれば問題ない

ただし、
受け取り側を特定できないような略称を記載した場合は、
税務調査時に認められないケースもある
(元の名前がわからないような略称は不適切)

会社などの経理上においては、
会社規定によって正式名称でないと認められない
ということもあるので、規定に従うようにする

 

正式名称の記載

宛名欄に、
代金を支払った者(領収書を受け取る側)の名前を
個人名なら氏名、会社名なら正式名称を略さずに書く

 

「株式会社」の記載

• 「(株)」という表記を避けて「株式会社」と書く
• マエカブ(会社名の前に「(株)」「株式会社」)
• アトカブ(会社名の後に「(株)」「株式会社」)

など、会社によってそれぞれ規定があったりする

 

 

 

宛名なしの領収書

宛名が空欄であったり、宛名が「上様」の場合は、
宛名なしの領収書ということになる

レシートを領収書代わりに使う際も、
レシートには宛名がないため「宛名なしの領収書

また、
宛名が空欄の場合に受取人自身が記入することは
文書偽造にあたり、認められない

 

 

 

上様(うえさま、じょうさま)

由来

諸説あるが、以下など

①. 目上の人を「上様」と呼んでいたことに由来

②. 得意客を意味する「上客(じょうきゃく)」の略

 

扱い

「上様」という宛名は、
領収書においては、宛名なしと同様の扱い

宛名が「上様」だからといって、
それだけで領収書が無効になるわけではないが、
認められない場合があるので注意が必要

 

 

 

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